洗濯機の選び方、使い方、修理 【図解】

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洗濯機とは? 英語:electric washer

洗濯は川の流れ、池などを利用して行われ。洗濯物を手で揉んだり、足で踏むことでおこなう。18世紀のヨーロッパでは、人の手を用いて、金属性のタライと石鹸で洗濯が行われることが一般的だった。

江戸時代の日本では、木製の桶と洗濯板で洗濯が行われた。

人力で行う洗濯というのは重労働であったが20世紀に先進国では洗濯機が実用化され普及し、女性の家事労働を低減させた。

洗濯機の歴史

 洗濯機の開発は、一九世紀の半ばにはじまりました。

一八五一年、アメリカでジェームズ・T・キング(James TKing)がハンドルで回転させるシリンダー(円筒)型の洗濯機を発明しました。これが現代のドラム式洗濯機の元柤のひとつです。洗濯槽の回転により衣類の汚れをたたき落とします。

 一九〇八(明治四十一年、アメリカのアルバーション・フィッシャー(Alva john Fisher)が世界初の電気洗濯機を発明しました。これは円筒型洗濯機を電化したものです。シカゴのハーレマシン社が「ソアー(Thor)」ブランドで販売しました。

世界初の電気洗濯機

世界初の電気洗濯機


わが国では、一九三〇(昭和五)年、芝浦製作所(現・東芝)が、バレー・マシン社やジー・イー社から技術を導入し、国産初のかくはん式電気洗濯機「ソーラー(Solar)」の製作をはじめました。 しかし、ソーラーかくはん式洗濯機は値段が高く、なかなか普及しませんでした。

 戦後、東芝が洗濯機の販売を再開したのにはじまり、たくさんのメーカーがさまざまな方式(円筒型、かくはん式、振動式など)の洗濯機を販売しましたが、あいかわらず普及は思わしくありません。

 一九五二年、フーバー社の「噴流式洗濯機」が発売されました。これは、短時間で洗濯でき、小型で軽量、さらに構造が簡単で安価に生産できるため、わが国のメーカーも一斉に噴流式洗濯機の開発に乗り出しました。

噴流式洗濯機

噴流式洗濯機


そして一九五二年、三洋から国産初の噴流式洗濯機が発売されると、安さと便利きが受けて飛ぶように売れました。「噴流式」は、すぐにより使いやすい「渦巻式」に改良されました。


その後発売された洗濯機と脱水機を合わせた「二層式洗濯機」は、脱水性能がよく、干し時間を短縮しました。二槽式洗濯機は一九六六年に一層式洗濯機の販売数を追いこしました。

二層式洗濯機

二層式洗濯機

 一九三七年、アメリカで洗濯から脱水までを自動で行う「全自動洗濯機」が発売されました。しかし、わが国の全自動洗濯機は価格が高く、なかなか普及しませんでした、全自動洗濯機が二層式洗濯機の販売数を追い抜くのは、一九八九(平成元)年のことです。

 乾燥まで自動で行う「全自動洗濯乾燥機」は、一九九〇年代後半に発売されました。しかし、当初は騒音など基本性能の魅力に乏しく普及が進みませんでした。二〇〇〇年発売されたインバーター制御DD(Direct Drive)モーター採用のドラム式の全自動洗濯乾燥機は、運転音が静かで顧客のニーズを分満足させるものでした。続いて使い勝手のよいタテ型の全自動洗濯乾燥機も発売されました。

DDインバーター銀河

全自動洗濯乾燥機


消費者のライフスタイルや住む環境が変わり、帰宅時間が遅い、室外に干す場所がない、排気ガスや花粉が気になる、外で干すと無用心である、などの理由から全自動洗濯乾燥機が注目を浴びています。


このような電気洗濯機の発展とともに販売台数も、一九六九(昭和四十四)年に四〇〇万台に達しました。それ以降も四〇〇万台前後で推移しています。二〇〇八年度は四三〇万台となり、洗濯乾燥機が全体需要の30%に達しています。そのうちドラム式は60%です。

洗濯機の需要

洗濯機の需要

 洗濯機の容量は、一九五三(昭和二十八)年に噴流式の一槽式洗濯機が売り出されたときは五キログラムでした。これはフーバー噴流式洗濯機の容量、三・三ポンドを踏襲したと考えられます。「ワイシャツ七枚洗濯できます」とうたっており、ワイシャツ一枚約200グラムという計算です。五十数年後の今日、主力機種の容量は九キログラムと六倍にも増えました。

洗濯機の将来、未来

水も洗剤も使わない洗濯機

 韓国のデザイナーが提案する、水も洗剤も使わない画期的な洗濯機。ゼリーで汚れを吸着し音波の振動でシワを伸ばすという仕組み。洗濯は約5分、乾かす時間は不要。


「洗う」「たたむ」「しまう」を自動化する未来の洗濯物

CEATEC JAPAN 2015の出展ブースにて、世界初となる全自動洗濯物折り畳み機「laundroid(ランドロイド)」のコンセプトモデルを発表した。


洗濯機の種類

全自動洗濯機

「洗い」「すすぎ」「脱水」を一つの槽(構造的には洗濯槽の中に脱水槽が入っています)で行うもの。洗剤と洗濯物を入れてスイッチを押せば、水を入れるところから、最後の脱水まで全部自動で行います。乾燥ができるものもありますが、あまりたくさん乾かそうとすると、衣類がシワクチヤのまま乾燥してしまうから、注意が必要です。

2槽式洗濯機

「洗い」と「すすぎ」を行う槽と「脱水」を行う槽が二つに分かれています。20年くらい前までは、このタイプの洗濯機が最も多く使われていました。「洗い」と「すすぎ」、「脱水」を同時にできるので、同じ時間だったら、全自動より多くの衣類を洗濯できるという利点があります。


ドラム式洗濯機

 洗濯機のドラムが横を向いていて、洗濯物を入れたドラムごと回転させます。水が少なくて済むという大きな特徴があってクリーニング屋さんの洗濯機は、このドラム式がよく使われています。


洗濯機の洗浄方式

パルセータ式

 パルセータ(底にある小さな羽根がついた皿形状のもの)を回転させて、渦巻きを起こして汚れを落とす仕組み


攪拌式

洗濯機の槽の真ん中に立っている大きな羽根を、ゆっくり反転させて水を攪拌して洗う仕組み。洗濯機が大きくなるので、日本よりもアメリカで多く使われている方式です


ドラム式

 ドラムの中に細長い板が付いていてドラムが回転するとこの板が洗濯物を持ちあげて下に落とします。この下に落ちるときの勢いで汚れを落とすという仕組み。これを「たたき洗い」といいます。


遠心力式

 遠心力をうまく使った洗濯機で、洗濯槽が2重になっています。内側の槽には穴がたくさん開いていて、この槽が回ると水が勢いよく外に出て、また戻されてというのを繰り返しています。このときに、内側の槽に張り付いている洗濯物の中を水と洗剤が通り抜けて、その力で汚れを落とすという仕組み。非常に速く回転しても、この方式だと水の中で洗濯物が絡んだり、ひねったりしないので、衣服などが傷みません。


オゾン式

水を使わず空気で洗う衣類ウォッシャー「ラクーン」

空気で洗う洗濯機:洗濯物にオゾンを吹きつけることで,水も洗剤も使わずに,除菌と脱臭を行う洗濯機。帽子やぬいぐるみなども゛洗える″ことで注目されています。

AQUA 衣類エアウォッシャー Racooon  AHW-SR1(H)

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洗濯乾燥機の種類

洗濯乾燥機の種類は、「ドラム式」と「タテ型」に大別される。「ドラム式」は洗濯物の出し入れの方向によりフロントオープンタイプとトップオープンタイプがある。フロントオープンタイプにはドラムが水平なタイプとドラムが傾斜した夕イプがある。フロントオープンタイプにはドラムが水平なタイプとドラムが傾斜した夕イプがある。欧米ではドラムが水平のタイプが主流であるが日本ではドラムが傾斜した夕イプが主流となっている。

タテ型」は日本特有のもので、タテ型の全自動洗濯機に乾燥機能を付加したものである。

 ドラム式、タテ型ともに洗濯の後、標準洗濯容量の衣類を乾燥すると、衣類のかさが増えて温風が通りにくくなり乾燥効率が低下するので標準乾燥容量は温風が満遍なく行き渡り、効率良く乾燥できるように標準洗濯容量より少なく設定してある。

洗濯乾燥機の乾燥のしくみ、原理

洗濯乾燥機の乾燥方式は、「空冷除湿方式」と[水冷除湿方式]があり、いずれも熱交換器を冷却し、湿気を含んだ温風を通過させることで、除湿している。なお、タテ型では「排気方式」を採用している商品もある。

 また、近年は、エアコンと同様の冷媒回路を搭載しドラム内の湿った空気を吸熱側の熱交換器で除湿して乾燥させ、加熱側の熱交換器で乾いた暖かい空気にしてドラム内に送り込む「ヒートポンプ乾燥方式」の商品も発売されている。

ヒーター乾燥 空冷除湿方式のしくみ

ヒーター乾燥 空冷除湿方式のしくみ

ヒーター乾燥 空冷除湿方式

ヒーターで暖めた空気を機体内に循環させて湿気を含んだ温風にし、外気で冷却された熱交換器を通過させ、湿気を凝縮させて水滴にして取り除く方式である。水冷|除湿方式と比較すると乾燥時間が長くなり、湿気や熱が多少室内に排出される。給水が不要なので節水性に優れる。

*熱風乾燥ドライヤーで乾かすようなもの

ヒーター乾燥 水冷除湿方式のしくみ

水冷除湿方式の洗濯乾燥機には、給湯器からの温水は使用しない。温水では冷却、除湿ができない。また、乾燥運転時は水栓を開けておくこと。

ドラム式洗濯乾燥機の場合

冷却水で、湿気を含んだ温風を除湿。乾燥の際に発生する水蒸気を水に戻して機外に排出。

 ①乾燥コースがスタートすると、給水弁(乾燥用)、乾燥ヒーター、送風ファン、排水弁が作勤し、ドラムが回転を始める。

 ②乾燥ヒーターで暖められた空気は、ドラム内のぬれた洗濯物を通過することにより湿気を含み、冷水で冷やされた熱交換器に送られる。ここで、給水された冷水と熱交換を行い、湿気は凝縮して水となる。除湿された乾いた空気が送風ファンで循環ダクト内に送られ、乾燥ヒーターで再び暖められてドラムに送り込まれる。

 ③給水された水は、熱交換器を通り湿気を凝縮したのち、凝縮した水と一緒に排水される。

 ④熱交換器内の循環空気と水槽内の除湿水の温度をセンサー(サーミスター)で検知しその温度差の変化を判別して乾燥は終了する。

ドラム式洗濯乾燥機

ドラム式洗濯乾燥機

ドラム式洗濯乾燥機


縦型洗濯乾燥機の場合

①乾燥コースがスタートすると給水弁(乾燥用)、乾燥ヒーター送風ファン、排水弁が作動し、洗濯・脱水槽が回転を始める。

②乾燥ヒーターにより暖められた空気は、洗濯・脱水槽内のぬれた洗濯物を通過することにより、湿気を含み熱交換器に送られる。ここで、給水された冷水と熱交換を行い、湿気は凝縮して水となり、除湿されて乾いた空気は循環ダクトを通って、乾燥ヒーターで再び暖められて洗濯・脱水槽に送り込まれる

③給水された水は、熱交換器を通り湿気を凝縮したのち、凝縮した水と一緒に排水される。


縦型洗濯乾燥機

縦型洗濯乾燥機


ヒートポンプ乾燥方式の乾燥のしくみ

エアコンやエコキュートにも使われている「ヒートポンプ」とは、空気中の熱を集めて利用する技術です。
「ヒートポンプ乾燥」なら、ヒーター加熱の電力が要らない分、使う電力量は少しだけ。槽内の空気を冷やすための水道水も要りません。ヒーター乾燥方式に比べて、使う電力量・水量を大幅に削減できます。

 ヒートポンプ乾燥方式はヒーターを使用せず、エアコンの室外機と室内機を一体化させたようなヒートポンプユニットで熱交換を行い、乾燥させている。


①ドラム内の湿気を含んだ空気は、送風機でヒートポンプユニット内に送り込まれる。

②ヒートポンプユニット内に送り込まれた空気は、冷却器(吸熱側熱交換器)で冷却されることにより、湿気は凝縮して水となって取り除かれ、排水ポンプで排出される。


③湿気を取り除かねた空気は、凝縮器(放熱側熱交換器)で暖められて乾いた温風となってドラム内に送り込まれる。温風は衣類を通過して湿気を含んだ空気となり、再びヒートポンプユニットに送り込まれる。


  ①この①~③の繰り返しにより洗濯した衣類を乾燥させる。

  ⑤ヒートポンプユニットに戻ってくる風の温度をセンサー(サーミスター)で検知し規定値以上になると乾燥を終了する。


 ヒートポンプ乾燥方式

ヒートポンプ乾燥方式


洗濯機のしくみ、構造

ここでは主流となっている全自動洗濯機について解説。

全自動洗濯機のしくみ

全自動洗濯機のしくみ

全自動洗濯機の主要部品の働き

部品名

機能

制御基板 選択された運転モードを各センサーの情報を元に運転指示をする洗濯指示系統の頭脳部分
給水弁 水道水の給水、給水停止切り替えを行う
水位センサー 水槽内の水位を検出する。布量センシングで設定された水位に到達すると、給水を停止させる。排水・脱水時にはリセット水位(排水完了水位)を検知し、脱水動作を開始させる
水槽 洗濯、すすぎ眄に水をためる槽、また脱水時に回転する脱水槽の脱水された水を受け、排水を行う
洗濯槽(脱水槽) 洗濯、すすぎ、脱水を行うとき洗濯物を入れる槽
パルセーター 洗濯槽内で左右に回転し水流を作り出す翼
ふたスイッチ 脱水畤、ふたを開けると脱水槽の回転を停止させる安全スイッチ。また衣類の片寄りが発生した眄にも停止させる
吊棒 洗濯、すすぎ、脱水時の振動を吸収し外箱への振動伝達を防ぐ
排水弁 排水弁モーターにより排水路を開閉する部品、洗濯眄は水路を閉じ、排水時は開く
外箱 各種部品を装着している外装キャビネット
モーター パルセーターや脱水棍を回す動力
クラッチ(軸受け機構部) 洗濯と脱水の切り替えを行う
ベルト モーターの回転力を軸受け機構部に伝達する
リントフィルター 洗濯やすすぎで発生する糸くずを捕集するフィルター
調節脚 調節脚を回して脚の高さを調節し洗濯機を水平にしてガタつきを防止する

水位(水量)、水流、洗濯時間の自動設定

 洗濯機は水位(水量)、水流、洗濯時間を決めるためにセンシングを行っている。

(1)布量センシング(乾布センシング)

 洗濯物の量は給水する前の乾布状態で測定される。乾いた洗濯物を洗濯槽に入れ、縦型ではモーターでパルセーターを回転、停止させ、パルセーターにかかる負荷を測定して水位を決める。またドラム式ではドラムにかかる負荷を測定して水位を決めている。したがって、同じ量の衣類を入れても、衣類の入れる順序や、入れ方によってはパルセーターやドラムにかかる負荷が異なり、水位も異なることがある。


 一般に「化繊など軽い衣類」や「洗濯ネットに入れた衣類」などが、布量計測時にパルセーターやドラムに接していた場合、水位が低めに設定される傾向にある。


 また「大物衣類」や「木綿類の衣類」などを先に入れると、高めの水位に設定される傾向にある。


(2)布質センシング

 布質センシングで布質(ふわふわか、ごわごわか)を検出し水流の強さと洗濯時間を決める。洗濯槽に洗濯物と水を入れた2つの状態(一番低い水位付近と布量センシングで設定された水位の2つの水位)で、モーターでパルセーターを回転させ、通電を停止した時のパルセーターにかかる負荷をそれぞれ測定しその差で布質を判定する。


 例えば、2つの水位で負荷の差が大きいときは綿などの衣類が多く、負荷の差が小さいときは化繊などの衣類が多い状態を示す。

 なお、布質センシングを行っていない製品もある。

 吊り棒の役割  横倒し厳禁

 最近の全自動洗濯機は、非常に静かなタイプが多くなっていますが、それにはいくつかおもしろい工夫がされています。例えば、流体バランサーや洗濯槽を支える吊り棒ですが、これらは脱水するときの振動を抑え、騒音を低減しているのです。この仕組みは、洗濯機を分解してみないとわかりません。

 全自動洗濯機は、洗濯槽の中に脱水槽が入っているという構造。脱水槽は点だけで支えて回転させて脱水をするので、回転時にバランスを崩しやすい構造になっています。そのため、回転を安定させるよう脱水槽の上部に液体の入った流体バランサーが取り付けられています。流体バランサーは、リング状になっており、容積の半分の塩水が入っています。脱水をするとき、洗濯物が片寄って傾いたときに、反対方向に塩水が流れてバランスを取るのです。洗濯が終わったときに、脱水槽を揺らしてみると、排水された後なのに「ちゃぷちゃぷ」という音が聞こえませんか。

これが脱水槽内の塩水の入っている音ですね。また、塩水ではなく、液体の柔軟仕上げ剤を流出させてバランスを取る、流体バランサーを搭載した洗濯機もあります。

 一方の吊り棒ですが、4ヵ所で洗濯槽を支えています。これも、脱水のときに威力を発揮する仕組み。吊り棒は、洗濯槽を支える部分がスプリングになった構造をしています。脱水が始まったばかりのときは、まだ洗濯物が重いので、スプリングと空気の圧力で洗濯槽をしっかり支えます。

そして、脱水が進んで洗濯物が軽くなると、今度はスプリングがフリーになって、洗濯槽の揺れを吸収するメカ二ズムになっています。こんな構造になっているので、全自動洗濯機の取扱説明書には、使用中は横倒し厳禁と書いてあります。

吊り棒の役割

吊り棒の役割

 

日本工業規格  電気洗濯機  JIS C9606

解説概要:

この規格は,電動機と洗濯槽とを一体とした家庭用の電気洗濯機(脱水装置を含む。以下,洗濯機という。)で標準洗濯容量 10kg 以下のものについて規定する。

その他の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

JISC日本工業標準調査会サイト

電気洗濯機の日本工業規格はJIS C 
C9606  です。JISC日本工業標準調査会サイト内のJIS検索から内容が閲覧可能です。(但し印刷不可)

*現在はIEインターネット エクスプローラーのみ閲覧可。

kikakurui.com |JIS規格票をHTML化したサイト

電気洗濯機の日本工業規格はJIS C  C9606が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず

電気洗濯機

洗濯の原理

洗濯機を選ぶ前の基礎知識

衣類の汚れ

 衣類に付く汚れは、生活の多様化とともに種類も多くなっているが、水溶性の有機物質および無機物質である食品、果汁などや、水不溶性無機物質の泥、鉄さびなどのほか、水不溶性有機物質の食用油脂、機械油、身体から分泌される脂肪などに分類できる。

 これらの汚れは、繊維の組織内に機械的に入り込んだもの、合成繊維などでできた親油性の衣類に油の性質で付着したもの、静電気によって吸着したものなどがあり、繊維の種類や布地の織り方などで汚れの付着度合に差ができる。

洗浄の方法

 衣類に付着した汚れを落とす方法としては、汚れの油成分を有機溶剤に溶かし込んで取り除くドライ・クリーニング(Dry Cleaning)と、汚れを水に溶かしたり、水中に乳化した状態で分散させて取り除くウェット・クリーニング(Wet Cleaning)という2つの方法がある。

 一般家庭で使用される洗濯機は水を使用するウェット・クリーニングで、水溶性の汚れは落ちやすいが水不溶性の油などは落ちにくいため、洗剤などを使用し、洗浄効果を高めている。

洗濯機の働き

 汚れた衣類に適量の洗濯用洗剤を使用すると、汚れは洗剤の科学的作用で繊維から離れるが洗剤だけの働きでは時間がかかる。これに摩擦や振動など機械的作用を加えると、汚れの落ち方が極度に速められる。この機械的作用を加えるのが洗濯機の役割である。

洗剤の種類

衣料用洗剤は、一般的には主原料である界面活性剤により、石けんと合成洗剤に区分されているがその他、種々の洗浄力増強剤および添加剤を配合して、さまざまな用途に適したものが作られている。

それらを使用用途、組成などにより区分すると下表のように大別できる。

 特に粉石けんを使用した洗剤は、水に溶けにくく、また十分なすすぎが必要となるなど使用に際しては注意が必要である。

使用用途と組成区分による成分配合例

使用用途と組成区分による成分配合例

界面活性剤の働き

 界面活性剤は、水と繊維と汚れのそれぞれの表面張力を低下させて、繊維に付いた汚れを離れやすくする作用がある。この界面活性剤が汚れを落とす4つの作用について具体的に説明する。

浸透作用

 界面活性剤を加えた洗濯液は、水の表面張力を低下させ、繊維の中まで浸透する。

乳化作用

界面活性剤分子は、親油基部分と親水基部分をもち、親油基は汚れ(油)になじみ、親水基は水になじむ性質があり、汚れを包み込む。これが乳化作用である。

分散、分離作用

 界面活性剤分子は、汚れを包み込んで、水に溶けない固体の汚れを細かく分解し、水のなかで分散させる。

再付着防止作用

界面活性剤の働き

界面活性剤の働き

 一度落ちた汚れを、界面活性剤分子が取り囲み、再び布に付着することを防ぐ。

洗浄力増強剤の働き

界面活性剤は、水中のカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどの硬度成分と反応して金属塩ができると、その働きが低下する。

 これらの金属イオンを取り込んで水を軟化する働きのあるものや、汚れを除去しやすくするものを洗浄力増強剤として配合している。

アルミノけい酸塩(ゼオライト)

 アルミノけい酸塩は、水に不溶性の白色の微粒子で、合成洗剤に配合されている。アルミノけい酸塩のナトリウムイオンは、水中のカルシウム、マグネシウムなどの多価陽イオンと容易に置換し、水を軟化する効果がある。

 洗剤には、カルシウムイオンの捕促能の最も大きい平均粒径1~12μmのゼオライト(合成ゼオライト)が用いられている。

アルカリ剤

 アルカリ剤は、人体から出てくる皮脂汚れなどを、けん化(油脂をアルカリで加水分解する)・中和(脂肪酸とアルカリが直接反応する)し除去しやすくなることから、洗剤に配合されている。

 また、水溶液をアルカリ性にして汚れを分散しやすくする作用があり、金属の腐食を抑制する働きもあるけい酸塩や、水に溶けて強いアルカリ性を示し皮脂汚れ中の遊離脂肪酸を石けんに代えて、汚れを取り除きやすくする炭酸塩などを配合している。

酵素

 酵素は動植物の体内で作られる天然の物質(タンパク質を主体とした高分子化合物)で、触媒作用がある。洗剤に配合されている酵素は、主に枯草菌などが生産するタンパク質分解酵素であり、それ以外にも、セルロース分解酵素、脂質分解酵素なども一部の洗剤に配合されている。

衣類と洗濯

衣類は、繊維の材質や加工方法によって、洗い方や乾燥方法、それにアイロン掛けの温度などが異なるので、洗い方や仕上げは、事前に衣類の「取り扱い絵表示」を確かめることが大切である。

 衣類など繊維製品には、日本工業規格に定める「取り扱い絵表示」が付けられており、洗濯の方法や乾燥方法などを明示している。家庭で洗濯をする場合は、この「取り扱い絵表示」を確かめ、洗濯物に合わせた洗濯方法と洗剤を選ぶ必要がある。

 取り扱い絵表示は、1976年から家庭用品品質表示法に基づいて、日本工業規格「JIS L 0217 : 1995繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法」に規定され、消費者やクリーニング店などに普及している。 2014年にJISが改正される予定である。

 「洗い方「水洗い」]「塩素漂白の可否」「アイロンの掛け方」「ドライ・クリーニング」については表示が義務付けられているが、「絞り方」「干し方」の表示は、表示者の任意となっている。しかし、最近の衣類は、繊維、糸、生地にいろいろな加工や種類、さまざまなデザインがあり、従来のように取り扱い絵表示による洗濯方法の区分ができなくなっている。

 衣類に表示されている取り扱い絵表示をよく確認するとともに、機器の取扱説明書に従って取り扱うことにより、ドライ・クリーニング衣類や、水洗いできない衣類を洗濯機で上手に洗濯することができるものもある。

取り扱い絵表示

取り扱い絵表示

「取り扱い絵表示」の詳細については下記のサイトを確認してください。

関連サイト:消費者庁 衣類の新しい「取扱い表示」で上手な洗濯!

洗濯の条件

 洗濯をするとき、洗浄力を高めるためのいくつかの条件がある。

洗濯の条件

洗濯をするときの水の温度

 洗濯に適切な水の温度は30~40°Cであるが、これは、温度が高いと、

  ・洗剤がよく溶ける。

  ・洗剤の浸透作用がよい。

  ・乳化作用がよく、汚れが落ちやすい、など洗浄力を高める特徴がある。

洗剤の濃度

 洗剤の濃度は洗濯物の汚れの度合い、洗濯液の温度、水の硬度などの諸条件と複雑にかかわっているので、一律に決めることはできないが、洗剤メーカーが表示している標準使用量を用いるのがよい。また、濃度は高ければ高いほど汚れがよく落ちるというものではなく、適正値を超えると洗浄力は飽和する。逆に標準値より濃度が低い場合は急激に洗浄能力が低下する。

洗濯時間

 洗濯時間と洗浄効果の関係は、そのときの洗剤濃度、洗濯物の材質などによって異なるが、洗濯時間を長くすれば比例的に洗浄効果があるというものではない。長すぎると洗濯物の傷みが増すだけで、汚れの落ち方はあまり変わらない。

水の硬度

 家庭で使われている水道水は、カルシウムやマグネシウムなど鉱物質が含まれており、その含有量によって軟水と硬水に分けられる。洗濯には軟水が適している。

 ・硬水……鉱物質の含有量が100 ppm以上

 ・軟水……鉱物質の含有量が 90 PPm 以下

 井戸水のように硬度が比較的高い水を用いる場合は、洗剤メーカーが指定する量より少し多めに洗剤を使うとよい。

すすぎ

すすぎは洗浄により落とされた汚れや、洗剤分を取り除く行程で、洗濯機でのすすぎは[注水すすぎ]と[ためすすぎ]が一般的であるが、一部の機器では、より少ない水ですすぐため「脱水すすぎ」を行うものもある。

 「注水すすぎ」では5~6分程度(流量15 L/分)、また「ためすすぎ」では3分を2回行えば十分と考えられている。合成洗剤を使用の場合は多少泡が残ることがあるが、これ以上すすぎを行うと、水と時間の無駄になるほか、衣類に付着した蛍光剤が早く脱落し黄変の原因になる。

※1:脱水すすぎは、脱水槽を低速で回転させながら給水し衣類に十分水を浸透させそのまま脱水することにより。汚れや、洗剤分を取り除く。

遠心脱水の原理

遠心脱水は、洗濯物を脱水槽に入れて回転させ、その遠心力によって洗濯物に含まれた水分を振り切る方式で、手絞りなどに比較すると脱水度が高く、布地を傷めずに平均に絞れるのが特徴である。

遠心力について

 遠心脱水機の脱水能力は、遠心力の大きさに比例し、遠心力は洗濯・脱水槽の半径と回転速度の2乗に比例するので、半径を大きくし、回転速度を速くすると洗濯物はよく絞れる。洗濯物に加わる遠心力は、次式によって求められる。

F = m×r×ω2=W/g × (2πN/60)2

  F:遠心力(kg)    m:質量  W/g   W:脱水物の質量(kg)

  g : 9.8 (定数)(m /s2) ω:角速度(2πN/60)

  r:脱水槽の半径(m)  N:回転速度(r/min)

脱水度について

 遠心力によって脱水した洗濯物の絞り率のことを脱水度と呼び、次式で求められる。

   脱水度=(乾燥布の質量/脱水後の布の質量)×100 (%)

脱水度を高くするには、洗濯・脱水槽の径を大きくレ回転数を高くすればよいが、構造上の制約がある。


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