掃除機の選び方、使い方、修理 【図解】

電気掃除機、クリーナー 英語:vacuum cleaner

たたいで掃き出す掃除では、大きなちりを取り除くことができても、小さなはこりは取り除けない。電気掃除機(クリーナー)は、はたきやほうきで行う掃除よりはるかに効率良く、家庭内のほこりゃちりを吸い取ることができるため、家事労働の軽減のみならず、家庭の健康面、衛生面にも効果がある。
掃除機の集じん(ごみ、ほこりをためる)方式には、大きく分け「紙パック式」と「サイクロン式」がある。従来は、「紙パック式」だったが、近年は、「サイクロン式」の構成比が大きくなっている。

電気掃除機、クリーナーの歴史

掃除機の発明

一八一一年、イギリスのジェームス・ヒューム(James Hume)が、床掃除機の特許を取得しました。

これが掃除機のはじまりです。一八七六年、メルビル・R・ビッセル(Melville Reben Bissell)が絨毯用掃除機をつくり特許を取得しました。
一九〇一年、イギリスのヒューバート・C・ブース(Hubert Cecil Booth)がついに電気式の真空掃除機を発明しました。これまではガソリンエンジンなどで掃除機を動かしていました。掃除機は英語で「Vacuum cleaner」といい、基本原理は現在も使われている画期的な発明でした。
そして一九〇七年、アメリカのジェームズ・M・スパンダラー (James Murray Spangler)が回転ブラシ付きの電気真空掃除機を発明し、従姉妹の夫であるW.H.フーバー(W.H.Hoover)に権利を売りました。これが、有名なフーバークリーナーのはじまりです。
このころの真空掃除機は、電動送風機を高速回転させ内部の空気を遠心力で移動して低圧にしゴミや塵を吸引するアップライト型でした。
続いて一九一二年、ヨーロッパにおいてもスウェーデンのエレクトロラックス社(Electrolux)がタービン羽根内蔵の家庭用真空掃除機を開発しています。

わが国には大正初期になって外国で開発された電気掃除機が輸入されました。
一九三一(昭和六)年に芝浦製作所(現・東芝)がわが国ではじめて電気掃除機を開発し、一一〇円で発売しました。当時の大卒初任給の二倍ですから、いまなら約五十万円の価格です。

国産 第一号 掃除機 

国産 第一号 掃除機

 サイクロン式の台頭

一九八〇年代後半から、マイコンとセンサを使った掃除機が出はじめて、モータのインバータ化もはじまりました。
一九九三(平成五)年、イギリスのダイソン社から新しい掃除機が売り出されました。
サイクロン式と呼び、最大の特徴は「紙袋がいらず、いつまでも吸込み力が落ちない!」というものでした。サイクロン式は、吸い込んだゴミと空気をダストボックス(円筒)の中でらせん状に高速回転させることでゴミをボックス内に落とし、きれいな空気だけを排気させるしくみです。当時の掃除機が平均二万円台の時代に、八万円前後で売り出されました。
ダイソンは数年おきにモデルチェンジし、コンパクト化と同時にその特殊構造が見えるスケルトンタイプのデザインが人気を呼びました。サイクロン式の価格は高いのですが、「吸込み力をキープする」というのが売りでした。その後、二〇〇〇~二〇〇二年にかけて各メーカーもサイクロン風の掃除機を開発し、一時は総需要の三〇%を超えるまでになりました。

サイクロン式掃除機

サイクロン式掃除機

二〇〇六(平成十八)年四月に独立行政法人国民生活センターが先発のダイソン社を含めた各メーカーのサイクロン式の掃除機をテストし、その結果を発表しました。結論は意外なものでした。

関連サイト:サイクロン方式の掃除機
サイクロン式は紙パック式に比べて、吸引力の低下が早い。また掃除性能が低めで、こまめな手入れが必要である」ということです。騒音が大きめ(最高七ハデシベル)の商品もあり、さらなる技術改良を要望されています。ただし、粒径五マイクロメートル以上のゴミ(ダスト)の排気はありません。
この発表のあと、国内メーカーは「紙パック式の高機能化」にも力を入れ始めました。これを「紙パックへの回帰現象」と呼んでいます。現在各メーカーは、「紙パック式」と「サイクロン式」を並存させて、両面作戦で開発を進めており、市場規模は約六〇〇万台です。

電気掃除機の将来、未来

二〇〇五年、東芝が「フィルタ自動清掃機能付き」の掃除機を開発しました。スイッチを切るたびに、フィルタのクリーニングを自動で行います。センサが汚れ具合に合わせてフィルタの回転時間を制御するというものです。さらに電源スイッチを入れるたびに、あるいはコードリールを操作するたびに目詰まりゴミを落とす商品もあります。
二〇〇八年、東芝が強い吸引力でうんと静かな掃除機を発売しました。一般的な掃除機が六〇デシベルに対し、静かなオフィス並みの四九デシベルです。掃除機は、洗濯機と同じように「静音化」が最も望まれていました。

家庭用掃除ロボットの開発

床掃除の全自動化は、2002年に東芝がエレクトロラックス社の掃除ロボット「トリロバイト」を販売したことにより歴史が始まりました。
その後、米国アイロボット社の「ルンバ」が国内でも発売されたことで家庭用掃除口ボットが家電として認知されるようになりました。以降、各メーカーが開発を重ね、複雑な住宅事情にも対応し、高精度の商品が多く発売されています。7万円前後だった価格も、最近では低価格なものが登場してきています。

ルンバ

ルンバ

プラズマ放電ユニット

住宅の高気密化が進み、掃除機では捕りにくい細かいホコリが部屋に溜まってしまう為に 紙パック式の掃除機でプラズマ放電ユニットとHEPAフィルターなどを搭載し、高集じん紙パック(3層構造)から通過した微細なチリまでを捕らえる機能を備えた掃除機が開発された。
プラズマ放電ユニットは、空気清浄機でも採用されている放電式のフィルター集じん方式を採用したもので、放電ユニットからマイナスイオンを放出して、プラスに帯電している微細な塵を静電気の力で捕じんするしくみである。

プラズマ放電ユニット

プラズマ放電ユニット

掃除機(クリーナー)の種類

掃除機は、その形態によって、大きく以下の5種類に分類される。それぞれに特徴があ
るので、用途に応じたものを選択することが必要である。

掃除機 キャニスター型(シリンダー型)

家庭用として最も普及しているタイプであり、フィルター、ファン、モーターなどが横
方向に配列され、コンパクトな形状である。
吸い込み囗からごみを吸い取り、フィルターを経て空気のみ機外に排気する。
キャニスター型には、「紙パック式」と紙パックフィルター不要の「サイクロン式」の両方の商品がある。

英語:canister 円筒型

掃除機 縦型(アップライト型)

本体に直接吸い込み囗を取り付けたタイプで縦型の形状をしている。
縦型には、キャニスター型と同様に「紙パック式」と紙パックフィルター不要の「サイクロン式」の両方の商品がある。

軽量のスティックタイプの縦型もあり、こまめな掃除に向いている。
充電式もあり掃除機本体部と充電器部に分かれているので、あらかじめ充電しておくこ
とによりコードレスで使用できる。電源コードがないので、どこでも使えて手軽だが、連
続使用の時間が限られる。一般的には、コード付き掃除機より吸引力か弱い。

英語: Upright 直立

掃除機 ポット型

主に業務用に使用されているタイプであり、集じん容量が大きく、電源コードも家庭用
に比べ長いものが使われている。用途により、クリーンルーム用乾湿両用型、吸水型、ト
ナー用などがある。

掃除機 ハンディ型

手に持って使用する小型、軽量のもので、交流式や、充電式電池を使用したもの、自動車の電源を使用するものなどもある。

ロボットクリーナー

円盤型の本体内に充電池を内蔵しており、床面を自律走行しながら、本体の下面のブラ
シとサイドブラシでごみを本体下にかき集めてごみを吸引・収集する。側面にセンサーを備えることで、家具や壁面を衝突するかまたは避けるように動き回り、プログラムされたとおりに床面の清掃を行うと自ら充電器へ自走して戻る。

掃除機 セントラル型

掃除機本体(集じん部)を固定して設置し、床下や壁の中にパイプを配管して、各部屋に差し込み囗を設けたもので、掃除は差し込み囗にホースを接続して行う。
室内に音や排気が出ない、本体を移動せずに、ホースを差し込むだけで掃除ができるなどの特徴がある。

掃除機(クリーナー)の原理、構造、しくみ

掃除機は、空気を吸い込むためのモーター、ごみやほこりなどを集める紙パックフィル
ター(または集じん室)、これらを収納するケースなどから構成されている。
モーターは整流子モーターが使われ、1分間に3万~4万回転の高速で回転している。
このとき、モーターに直結しているファンにより、ファン中心部の空気は遠心力で外周方向に飛ばされて排気口から排出されるため、ファンより前方は大気圧より低い圧力(負圧という)となり、この負圧と大気圧との圧力差が高速気流を生み出し吸い込み口から空気が吸い込まれる。

掃除機 ファン 吸引の仕組み

掃除機 ファン 吸引の仕組み

画像出典先:分解! 家電品を分解してみると! 藤瀧 和弘 (著)

掃除機 紙パック式 原理、構造

空気と一緒に吸い込まれたごみやはこりは、紙パックフィルターで集められ、空気だけがモーターを冷やしながら排気口から排出される。

近年は、紙パックに振動を与えることで内側のちりを落下させて紙パックの長寿命化を図ったものや、排気の除菌・除臭のために、モーターと排気口間にフィルターを配置しているものもある。

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掃除機 紙パック式 原理

画像出典先:商品知識と取扱い 生活家電編 家電製品協会編

掃除機 サイクロン式 原理、構造

サイクロン室、集じん室の2室で構成されているダストケースにごみと空気を吸引し、サイクロン室で発生する旋回気流でごみを集じん室に飛ばし込む構造になっている。パックは不要で、ごみのたまる集じん室と空気の通り道を分け、吸引力を持続させている。

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掃除機 サイクロン式 原理

画像出典先:商品知識と取扱い 生活家電編 家電製品協会編

フィルター自動掃除機構を組み込んだ機種があり、電源コードを引き出すときにフィルターに振動を与えてごみやはこりを落とすタイプや、電源スイッチを切ったときに自動的にフィルターをたたき、フィルターに付いたごみやほこりを落とす機構を組み込んだタイプがある。これにより約10年間フィルターの手入れ不要としている機種もある。

これはメーカー規定のごみで指定どおりの手入れを行った場合で、ごみの種類や条件によってもっと短い期間で吸引力が落ちることもある。吸引力が落ちた場合には、各種フィルターの掃除が必要である。
なお、商品によっては紙パックを取り付けて使用できるものもある。

掃除機 排気循環方式 原理、構造

ほかにも、排気循環方式という方式がある。この方式は、吸い込み口から入った空気を、モーター通過後も排気口から出さずに吸い込み口近くに戻して床面に噴射し、ごみやはこりを吸い込みやすいように浮き上がらせ、再び吸い込み口から吸い込む構造の掃除機である。排気のにおいが少なく、排気による床からのはこりの舞い上がりも少ないので、窓を閉め切ったまま掃除をしたいというニーズに合っている。しかし、一般的に排気循環方式の掃除機は、従来タイプに比べて吸引力か弱い
このため市場でのニーズは減少し、現在では生産されていない。

掃除機 排気循環方式

掃除機 排気循環方式

画像出典先:分解! 家電品を分解してみると! 藤瀧 和弘 (著)

掃除機 ポット方式 原理、構造

吸い込み原理はシリンダ型と同じですが、形がポット型をしていて大きな集塵容積を持つので、業務用として使われています。

掃除機 ポット式

掃除機 ポット式

掃除機 床ブラシ 構造

床ブラシは、畳、フローリングやじゅうたんなど、床面に応じてごみやはこりを効果的に吸い込むために、走行注なども考慮して作られている。そのため、標準的な床ブラシのほかに、用途により次のようなものがある。
一般にふとん用ブラシ、家具用ブラシ、棚用ブラシ、丸ブラシ、すき間ノズルなどがあり、掃除する場所により使い分けることができる。

掃除機のパワーブラシ

床ブラシにモーターが内蔵されていて、モーターにより回転する回転ブレードが、じゅうたんの糸くずや綿ごみなどをかき出し吸い込む構造になっている。パワーブラシは掃除機本体から電源を供給されて動作するもので、その機種専用の床ブラシである。

パワーブラシ

掃除機 パワーブラシ

掃除機のターボブラシ(タービンブラシ)

掃除機の吸い込む空気の流れ(風)を利用し、ターボファンを介し回転ブレードを回転
させ、じゅうたんの糸くずや綿ごみなどをかき出し吸い込む方式で、どの掃除機でも使用できる。電気部品を使用していないので、水洗いができる。

ターボブラシ

掃除機 ターボブラシ

家庭用掃除ロボットの仕組み、構造

部屋を広範囲に自走し充電までを自立して行なう家庭用掃除ロボットのしくみとはどのようなものなのでしょうか。
家庭用掃除ロボットは、円盤形の本体内にバッテリーを内蔵しているためコードレスです。移動しながら本体の下面に備えたパワーブラシを回転させて、チリやほこりをかき出し、下面の吸引囗で吸い込みます。その間、赤外線や障害物センサーで得た情報で部屋の広さや汚れ具合いを随時把握し、AI(人工知能)プログラムが最適な行動パターンを選び出し、部屋全体をカバーしながら掃除していきます。
充電ドックがある機種は、掃除プログラムの完了またはバッテリー残量が低下すると、自ら充電ドックまで戻って充電を始めます。

家庭用掃除ロボット

家庭用掃除ロボット

 床掃除の全自動を可能にしたセンサー技術

部屋をくまなく効率的に掃除するため、家庭用掃除ロボットには本体内に約40種前後のセンサーが組み込まれています。それらを組み合わせることによって、床掃除という複雑なプログラムを可能としているのです。センサーは走行に関する技術と掃除に関する技術に大別されますが、ここでは走行に関するセンサー技術を紹介します。

・障害物センサーとバンパー

本体前側面に配置されたセンサーは、移動中、進行方向に壁や障害物が迫ると壁を検知して減速します。それによってバンパーに接触する衝撃を最小限に抑える工夫がされています。

障害物の検知センサー

障害物の検知センサー

・落下防止(段差)センサー

本体下部に下向きに配置されたセンサーです。このセンサーが階段や段差を検知して進路を変えることにより本体の落下を回避します。

段差の検知センサー

段差の検知センサー

・赤外線センサー

一部の商品では赤外線ユニットを使用することで侵入して欲しくない場所であることを赤外線で知らせ、掃除ロボットの行動範囲を限定することができます。行動範囲は時間での管理もできます。たとえば30分間はある区域だけを集中的に掃除させ、それを過ぎるとその区域外に出て掃除を続けるといった作業です。なお、リモコンなどで遠隔操作する際にも赤外線センサーが使用されています。

・その他のセンサー

自分の進行方向を判断するジャイロセンサー、加速度センサー、走行距離センサーなどのセンサーの働きにより、掃除ロボットは自分の位置と部屋の広さを把握し、最適なプログラムで掃除をします。

このように家庭用掃除ロボットは日進月歩のセンサー技術の進歩とともに機能の拡充が図られています。
では、素朴な疑問として、どの程度の大きさ・重さまでのゴミなら掃除(ロボット内に収納)してくれるのでしょう。体験的には、コイン程度のモノまでであれば収納されます。

注意しなければならないのはペットの毛です。ソファやペッドの下など、通常の掃除機では掃除が面倒な場所も、掃除ロボットなら、そこにもぐり込んで掃除をしてくれます。それは完璧とも呼べる作業ぶりなのですが問題はこれらのが駆動部やブラシにからみつくことです。

ですから、ペットのいる家庭は、何回かの掃除のあとに、ブラシにからんだ毛を手動で取るなどのメンテナンスが必要になるはずです。
ただ、外出先から戻ってくると、部屋が(明らかに)きれいになっているという便利さは何にも代え難いものがあり、家庭用掃除ロボットは、今後も私たちの生活により一層密接にかかわっていく家電となるでしょう。

日本工業規格 JIS C 9108 電気掃除機 

解説概要

適用範囲:この規格は,電動機で運転する送風機の背圧を利用した定格消費電力 100 W∼1 000 W の家庭用の電気掃除機(以下,掃除機という。)及び 1 000 W を超え 1 500 W 以下のその他の掃除機について規定する。ただし,送風用電動機と機械的に接続する方式の回転ブラシをもつ掃除機,床用吸込具が掃除機本体(以下,本体という。)にじか付けの掃除機で床用吸込具又はその通路が分離できないもの,及び配管工事を必要とする掃除機並びに充電式掃除機及び業務用掃除機については適用しない。

その他の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

JISC日本工業標準調査会サイト

電気掃除機の日本工業規格はJIS C 9108 です。JISC日本工業標準調査会サイト内のJIS検索から内容が閲覧可能です。(但し印刷不可)

*現在はIEインターネット エクスプローラーのみ閲覧可。

kikakurui.com |JIS規格票をHTML化したサイト

電気掃除機の日本工業規格はJISC 9108 が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず)

JIS C 9108 電気掃除機 



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