IHクッキングヒーターの選び方、使い方、修理 【図解】

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電磁調理器、IHクッキングヒーターとは? 英語:IH cooking heater

 IHクッキングヒーターは、電磁誘導加熱(IH : Induction Heating )を利用した調理器であり、炎や発熱体などを使用しないため安全性が高く、トッププレートが平らなので吹きこぼれなどの手入れが簡単でクリーンである。

 直接、鍋自体が発熱するので効率が良く、シーズヒーターやラジェントヒーターと比較すると加熱時間も短く、また電気代も安くなるなどの特長を有している。

ラジェントヒ一ター:ニクロム線を発熱・発光させ、その放射熱により加熱を行う調理用ヒーターのこと、近年は発光までの時間か数秒という立ち上がりの極めて早いタイプが開発されており、これはクィックラジェントヒーターと呼ばれている。

 IHクッキングヒーターの歴史

システムキッチンの熱源をガスから電気へ転換させるのが家電業界の長年の目標でした。  1964年(昭和三十九年)、シーズヒーターを熱源としたクッキングヒーターが開発されました。これは発熱体となるニクロム線を酸化マグネシウムの粉末で覆い、ステンレスや高ニッケル鋼の金属パイプで被覆したものです。渦巻状ピークの上に、平底なべを直接載せて「熱伝導」で加熱する調理器具でした。

Figure 1シーズヒーター クッキングヒーター

 1989年(平成元)年に発売された「ハロゲンヒーター」を熱源としたクッキングヒーターは、赤外線の「輻射加熱」を利用したもので、斬新なガラストップ構造でした。しかし、スイッチを切った後もガラスが高温であるため、やけどの心配がありました。

Figure 2 ハロゲンヒーター クッキングヒーター

その後、ニクロム線をリボン状に配置して発熱、発光させる「ラジェットヒータ」が開発されました。長寿命で輻射加熱効果も大きいため、現在も使われています。

Figure 3 ラジェットヒータ

1971年(昭和四十六年)、アメリカのウェスティングハウス社が、世界ではじめて電磁調理器を開発し、クールトップ(Cool Top Induction Range)の名で発売しました。最初の機種は一ロタイプでしたが、続いて四口のクールトップ2を発売しました。

Figure 4 ウェスティングハウス社クールトップ2 画像出典先: WIKEPEDIA

 わが国では、1974年に三菱から一口の電磁調理器が発売されました。 1989年(平成元年)、東芝が中部電力の協力を得て200ボルト、2.0キロワットの卓上型電磁調理器を商品化し、ここではじめて「ガスに対抗できる火力」が実現しました。1990年には松下200ボルト・三口のビルトインタイプを発売し、「IHクッキングヒーター」と名づけました。その後、卓上型電磁調理器は、IH調理器と呼ばれるようになりました。当初は、200ボルト化の工事のわずらわしさと、なべが鉄系に限られることもあり、普及しませんでした。2002年、松下が銅やアルミのなべも使えるオールメタル対応のIHクッキングヒーターを発売しました。

Figure 5松下『IHクッキングヒーター』  画像出典先:日本工業新聞社サイト

IHクッキングヒーターの原理、しくみ

IHクッキングヒーターの原理

 IH調理器は、コイルに25kHz(キロヘルツ=1秒間に1000回振動すること)の高周波電流を流しそれによって発生する磁力線が鍋の底内を通過すると、そこにうず電流と呼ばれる電流が発生する現象を利用して鍋を温めます。

金属製の鍋の中でうず電流が流れると、金属の持つ電気抵抗によってジュール熱が発生して、鍋自体が発熱するのです。このようなコイルを使った加熱方式を誘導加熱といいますIH調理器の「IHとは、Induction Heating(誘導加熱)の頭文字です。

 うず電流が流れてジュール熱を出す点は、抵抗加熱とまったく同じですから、銅やアルミニウムなど電気抵抗の小さな金属製の鍋では、効率よく加熱されません。調理器に最も適した金属は、磁石に付く鉄の鍋です。ステンレスでも磁石に付く物なら使えます。

Figure 6  IHクッキングヒーターの原理   画像出典先:「分解!」 家電品を分解してみると! 藤瀧 和弘 (著)

動画  IHクッキングヒーターの原理   誘導加熱

IHクッキングヒーターの構造(上面加熱部分)

Figure 7 画像出典先:1.商品知識と取扱い 生活家電編 家電製品協会編

IHクッキングヒーター 加熱コイル

一般的に、直径0.3~0.5mm程度の銅線24~50本をより合わせたコイルを渦巻状にしたものである。ただ、オールメタル対応IHでは、直径0.05mmの銅線約1,600本をより合わせているものもある。20~90kHzの高周波電流を流すため、コイルの表皮効果による導体損失を少なくしてコイル自体の発熱を抑える工夫が施されている。火力は、コイルに流す電流の大きさによって調節する。鍋の加熱むらを防ぐため、コイルを2分割したり3分割したりして温度むらを軽減させたタイプもある。

Figure 8 画像出典先:価格.comマガジン

  何故、リッツ線が高周波コイルに使用?

高周波電流は周波数が高くなると、導体の中心をほとんど流れなくなる、表面近くを流れる性質があります(表皮効果という)IH調理器の加熱コイルには大きな電流を流す必要がありますが、太い電線1本では表皮効果があるため、流せる電流は限られてしまいます。そのため、IH調理器の加熱コイルには、細い電線を数十本束にしたリッツ線が使われています。 この現象は鍋の加熱時しも発生しています。IH調理器にのせた鍋底内の電流は、鍋底の表皮部分だけを流れています。

Figure 9 画像出典先:「分解!」 家電品を分解してみると! 藤瀧 和弘 (著)

IHクッキングヒーター 温度センサー

トッププレートを通して、鍋の温度を検出するためのセンサー。一般的に、サーミスターをコイルの中央、コイルとコイルの間など数力所に設置している。てんぷら機能や保温機能を使うときに、設定温度通りに鍋が加熱されているかをチェックする。鍋底の温度を直接検知できる赤外線センサーが設置されている機種ではサーミスターとの組み合わせにより、予熱時の温度管理や調理時の温度設定、食品投入時の温度変化に対応した出力の調整をきめ細かく管理できる。また、温度が規定値以上になると自動的に通電をOFFし、温度過昇防止や空だき防止の検知をする。


IHクッキングヒーター ラジエントヒーター

一般に1200W程度で、ニクロム線を発熱させて鍋を加熱する。IHクッキングヒーターに比べて火力が弱いが、ヒーター自体が発熱するのでアルミ鍋や耐熱ガラス製の鍋などといったIHクッキングヒーターで使用できない鍋でも使用できる。また、あぶりもの、焼きものも可能である。


IHクッキングヒーター トッププレート

調理時に鍋やフライパンを載せる部分は凹凸のないフラットな一枚ガラスにステンレスの外枠を付けたものが一般的である。また、ガラス素材には耐熱性や耐水性、耐衝撃性の高い硬質セラミックガラスが採用されている。しかし、体重をかけたり、物を落としたり、衝撃を加えるとビビが入ったり割れる場合があるので注意が必要である。また、調理直後はトッププレートが熱くなっているので触れないようにし、各部が冷めてから掃除を行う。


IHクッキングヒーター 天面操作部・表示部

トッププレート上にある天面操作部では、調理時のIHクッキングヒーターのON/OFFや火力調節などといった基本的な操作が可能である(ただしメーカーや機種によって多少異なる)。鍋の近くで操作できるため、料理の状態を見ながら火加減を調節でき、腰を曲げずに楽な姿勢で操作できる点が大きなメリットである。表示部には火力表示やタイマーの残り時間、選択している調理機能などが表示される。火力は棒グラフが伸び縮みするようなイメージで表示されるなど見やすく工夫されている機種もある。


IHクッキングヒーター 操作部

主にラジエントヒーターやグリルなどのON/OFFや火力調整、タイマー機能、グリルのオートクリーニングなどの操作を行う(メーカーや機種によって操作できる機能は多少異なる)。従来は火力調整をガスコンロと同じような感覚で行えるダイヤル式が主流であったが、最近ではタッチキー方式(押しボタン式)を採用し、使用しないときは、誤ってボタンに触れないように操作部自体を収納できるタイプもある。


IHクッキングヒーターの構造(上ヒーター・下ヒーター(グリル))

グリルのヒーターは上下2か所にあり、両面焼きができるタイプが主流である。ヒーターには主にシーズヒーターが採用されており、火力は上下ヒーター合わせて1,200~2.000Wである。なお、上ヒーターにフラットヒーターを採用しているタイプもある。 基本的に、グリルではヒーターのON/OFFによって庫内温度を調整する。自動メニューによる調理、手動調理、温度設定による調理を選ぶことができる。



IHクッキングヒーター 焼き網

 受け皿に設置して、食材を置くための網。フッ素加工などを施して、汚れが付きにくくなるよう工夫されている。


IHクッキングヒーター 受け皿

調理時に落ちてくる食材の油分や水分を受け止める役割がある。また、調理中に水を入れて使うこともある。焼き網同様、フッ素加工などを施して汚れが付きにくくなるように工夫されている。


IHクッキングヒーター 煙・におい除去部

グリルを使って調理をすると煙やにおいが発生するが、触媒を通過させることで煙やにおいを除去している。グリルで発生した煙は触媒を通過する。触媒は触媒用ヒーターにより加熱され活性化しているので、煙やにおいは触媒を通過するとき水と二酸化炭素に分解される。

Figure 11 画像出典先:LIXILリフォームネット

IHクッキングヒーター オートクリーニング

空だきすることで、グリル壁面やヒーター、脱煙用の触媒などに付着した油分を焼き切り、においを軽減する。


IHクッキングヒーター 設置方法による種類

持ち運びの可能な一口の卓上型と、複数の火口を持ったものがある。複数の火口をもったものはシステムキッチンに組み込むタイプ(ビルトイン型)と、流し台脇に据え置く夕イプ(据え置き型)があるが、IHクッキングヒーターの普及とともに、組み込みタイプの構成比が高まっている。

ビルトイン型:システムキッチンを利用している人にベスト。キッチンと一体感があるので、スッキリとした見栄えの良さが特徴ですが、設置工事が必要。

据え置き型:工事不要、コンロ台の上に設置して利用。現在据え置き型のガステーブルをお使いの人には最適なタイプ。

卓上型:食卓にも置いて使用できるコンパクトサイズで、簡単に持ち運べるタイプ。


クッキングヒータ用調理器具のSG基準

1.基準の目的

この基準は、クッキングヒーター用調理器具の安全性品質及び使用者が誤った使用をしないための必要事項を定め、一般消費者の生命又は身体に対する被害の発生の防止を図ることを目的とする。

その他の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

製品安全協会


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