電子レンジ・オーブンレンジの選び方、使い方、修理【 図解】 

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電子レンジとは? 英語:Microwave oven

 食品の温め方には[伝導加熱]と「誘電加熱」がある。「伝導加熱」はガスコンロなどの熱源により鍋やフライパンを温めると、その熱が食品の表面から内部へと除々に伝わり加熱される。これに対して電子レンジは、食品にマイクロ波(電波)を照射し食品内部の水分子を振動させ、分子と分子の摩擦熱により食品全体を発熱させる「誘電加熱」を用いた調理器具である。


電子レンジとオーブンレンジの違い

電子レンジはマイクロ波でコンビニ弁当などを温めるたり、解凍だけができます。オーブンレンジは電子レンジにオーブン機能が付加された物であり、ケーキなど、お菓子を焼いたりパンを焼いてトーストにしたりする場合はオーブンレンジが必要です。オーブンレンジは電子レンジの温め機能の他にオーブン機能がついてグリル料理が可能な調理機器です。


 電子レンジの歴史

電子レンジの加熱原理は、1945(昭和二十)年ころアメリカのレイセオン社のハーシー・スペンサー博士によって発見されました。レイセオン社は、レーダー用マグネトロンのメーカーで、博士がレーダー実験中にポケットのチョコレートバーが溶けたことに気がついたのです。

これをヒントに食品加工の研究を行い1947年、世界ではじめて出力900Wの水冷式多分割陽極マグネトロンを二個使った調理器「レーダーレンジ(Rader Range)」が製品化されました。

1959年、東芝が国産第一号の電子レンジを開発しました(写真)。戦前から真空管の開発に注力していた東芝は、まず電子レンジ用のマグネトロンを開発し、電子レンジを完成させたのです。洗濯機や冷蔵庫に遅れること30年あまり、1961年に市販第一号を発売しました。

 一九六二年、電子レンジが国鉄(現・JR)の特急に採用され、話題を呼びました。特急に搭載する際、担当者のひらめきで「電子レンジ」という呼称がはじめて使用されたということです。引き続き1964年、新幹線のビュッフェにも採用されその便利さが一般に知れわたりました。

電子レンジ 原理

電子レンジの原理?

電子レンジは、食べ物が自ら内側から温かくなってくれます。これは、電波を使って、食べ物の中の水分(水の分子)に働きかけることで発生する現象です。その原理は、手と手を合わせてこすると手が温かくなる現象「摩擦熱」と同じです。この摩擦熱を、電子レンジは分子レベルで利用しています。水の分子がこすれ合って熱を出しています。

電子レンジには、マイクロ波という高周波の電波を出す「マグネトロン」という装置が入っています。このマグネトロンから出るマイクロ波は、2450MHz。1秒間に24億5000万回も回転することができます(プラスとマイナスの極性が入れ替わる)。

私たちがふだん食べる食べ物の中には、たくさんの水分が含まれています。この水の分子にマイクロ波が当たると、水の分子はその影響で1秒間に24億5000万回も激しく回転します。そのときに、回転による摩擦熱が発生して、食べ物を温めることができるわけです。これを誘電加熱(マイクロ波加熱)といい電子レンジの原理です。


食品の水分子が反転したり、回転したりすると、水の分子同士がこすり合い、摩擦熱が発生し、食品の内部(表面から約5~6 cmまで)から発熱する。これを「高周波誘電加熱」という。プラスとマイナスの電荷を帯びていない分子(無極性分子)や振動しにくいガラスや陶器などの物質(固体)には、マイクロ波が透過されるため影響が少なく、加熱されにくい。


マイクロ波の性質

マイクロ波は、直進し、物質に当たると、反射、透過、吸収の現象を起こす。

反射

金属(導体)のように電気を流す性質をもっている導電性物質は、マイク波を反射する反射する性質を利用して電子レンジの加熱室やドアにはステンレスなどの金属を使用し、マイクロ波が外に漏れないようにしている。

透過

ガラス、陶磁器など(水分を含まない)誘電損失の低い物質は、マイク入口波を透過する。

吸収

水分を含んだ食品や飲料水などで誘電損失の高い物質はマイクロ波を吸収する。電子レンジは、これらの性質を利用している。


食べ物を中から温めると、食べ物に無駄なく熱を伝えるので、食べ物全体がよく温まります。その上、ビタミンなどの栄養成分も無くなることが少ないので、身体にとっていいところもあるのです。

電子レンジは、内部のマグネトロンからマイクロ波を発生します。

 加熱に使われるマイクロ波は、電磁波の一種です。波長の長い電磁波は、ほかの電気製品からも発生しています。レントゲン検査に使われるのは波長の短いX線です。

動画 電子レンジで食品を温める原理

電子レンジ構造、種類、しくみ

電子レンジの機能別分類

単機能タイプとは、レンジ機能しかないものをいい電子レンジという。多機能タイプとは、レンジ機能にオーブン機能、グリル機能やスチーム機能などを付加したものである。また、これらの機能を複数組み合わせ、マイコンとセンサーにより各種制御を行い、自動的に調理できる。

単機能タイプ

 次に示すとおり、発振部、高圧部、制御部、加熱室部に大別できる。

 発振部 マイクロ波を発振するマグネトロン、マイクロ波を加熱室に導く導波管およびマグネトロンを冷却する冷却ファンからなっている。

 高圧部 :マグネトロンの動作に必要なヒーター電圧と直流の高電圧を作る高圧トランス、高圧コンデンサー、高圧ダイオードなどからなっている。

 制御部 :加熱時間を制御するタイムスイッチや制御回路からなっている。

 加熱室部:高周波的に密閉された食品の加熱室、ターンテーブルおよび食品を出し入れするためのドアからなっている。導波管から出たマイクロ波は波長約12 cm の波の性質をもっているため、庫内の中には電界の強いところ、弱いところの定在波が存在することになり、食品の加熱むらが生じる。加熱むらを改善するために、ターンテーブルを回転させたり、またはマイクロ波を撹拌するスタラーファンを用いたものがある。


画像出典先:生活家電の基礎と製品技術   家電製品協会編

多機能タイプ

オーブン機能

 加熱室内には、下図のように500 W と1,300 W 程度のヒーターが上側と下側に取り付けられ、このヒーターに通電して温度コントロールにより食品を加熱する。

 また、加熱室内の背面のみヒーターを取り付け、ファンで熱気を循環させる熱風循環式(コンベクション)のものがある。このオーブン機能と電子レンジ機能を兼ね備えているものを、一般的にオーブンレンジと呼んでいる。


グリル機能

 加熱室の上部に取り付けられているヒーターにより、設定した時間(温度コントロール不要)だけ食品に直接加熱し、表面に焦げ目を付けて焼き上げる機能である。

 このヒーターは、オーブン時と兼用している。 上ヒーターの強い熱で食品の上側表面に、焦げ目を付ける。 レンジ底部から出るマイクロ波で皿を予熱する。 その後、マイクロ波と上ヒーターの強い熱で、食品の両面に焦げ目を付ける。


スチーム機能

 スチーム発生装置をキャビネットと加熱室壁との間に取り付け、これにより発生した飽和蒸気(約100℃)を加熱室内に送り、食品を適度に加湿して蒸し上げる。

 庫内の底部から出るマイクロ波で皿の温度を上げる。

 ふたをして内部の蒸気(スチーム)と皿の熱で蒸したり、蒸し焼きにする。


電子レンジ 加熱の種類

レンジ加熱

 電子レンジは、マイクロ波を発振するマグネトロンと、高い電圧を供給する高圧回路、マグネトロンから放射されたマイクロ波を庫内に導く導波管などにより構成されている。 なお、食品温度を検知する赤外線センサーや、食品の量を検知する重量センサーを組み合わせ、加熱時間や出力を加減させる自動コース(加熱・調理)機能を持った機種もある。

温めむらの防止

 庫内にはマイクロ波の強いところと弱いところができるため、温めむらが発生する。これを防止するため、次のようなしくみで加熱を行っている。

ターンテーブル式:食品をターンテーブルで回転させて、マイクロ波を照射する。

  

テーブルレス式:マイクロ波を回転アンテナやスタラーフアンによって撹拌して食品に照射する。


出力の可変方法

①レンジ加熱の「強」と「弱」(下図)

  レンジ加熱には「強」と「弱」がある。「強」加熱ではマグネトロンから放射するマイクロ波を連続放射して食品を加熱しているが、「弱」加熱では、弱いマイクロ波が放射されるのではなく、「強」加熱時のマイクロ波を間欠的に放射し平均すると[弱]になるように加熱を行っている。

インバーター加熱

  インバーター方式のレンジはマグネトロンの動作電圧を可変して、マイクロ波を高出力から低出力まで自在にコントロールできる。例えば、1000Wの高出力の連続加熱から200W程度の低出力連続加熱まで出力が可変できるので、高出力による短時間調理や、低出力調理(煮込み・解凍)など調理の幅を広げている。

オーブン加熱

 オーブン加熱は、庫内全体をヒーターで一定の温度に保ち庫内の雰囲気温度を食品の表面に伝導させ加熱する。大きく分けて、コンベクション方式上下ヒーター方式の加熱方式があり、パン、ケーキ、焼き豚、ハンバーグなど、庫内の温度をメニューに合わせて設定し、雰囲気温度で食品全体の温度を高めて焼く料理に適している。


コンベクション方式

ファンで熱風を循環させながら、庫内全体の温度を均一に上昇させる。

上下ヒーター方式

上下のヒーターで庫内を加熱し食品を焼き上げる。

グリル加熱

 ヒーターからの強い放射熱により、食品の表面に香ばしい焦げ目を付け、焼き上げることができる。焼き魚、ステーキ、焼き鳥など、食品の表面に焦げ目をつける料理に適している。

スチーム加熱

 蒸気を発生させ食品を適度に加湿して蒸し上げる。蒸気の発生方法には、スチーム容器を直接庫内にセットするものや、キャビネットと庫内の間に発生装置を取り付けるものなどがある。

レンジ・オーブン同時加熱

 従来型のレンジでは、消費電力の制限から、レンジとオーブンの同時加熱はできなかった。インバーターレンジでは、マイクロ波出力を連続して可変できるため、オーブンと同時加熱の場合、マイクロ波の出力を低くして消費電力を抑えることにより、ヒーターと同時に使用することができる。このためガスのとろ火に近い加熱ができ、肉じゃがや煮豆などの微妙な火加減を必要とする調理に適している。

画像出典先:商品知識と取扱い 生活家電編 家電製品協会編


過熱水蒸気加熱

 過熱水蒸気とは、飽和水蒸気をさらに加熱した蒸気であり、大気圧では100℃より高い温度の無色透明の気体である。食品や木材その他の乾燥や熱処理な剔幅広い分野に利用されている。「過熱水蒸気加熱」オーブンレンジは、この過熱水蒸気を利用して食品を調理するオーブンレンジである。その加熱のしくみは以下のとおりである。

 ①ポンプでくみ上げられた水は、水蒸気発生装置で加熱されて水蒸気になり、過熱水蒸気発生装置へ送られる(図)。

②水蒸気は、過熱水蒸気発生装置でさらに加熱されて過熱水蒸気(100~400℃)となり、循環ファンにより庫内に送り込まれ食品を加熱する。

③調理が終わると、排気ダンパーが開いて庫内の蒸気を排気する。

 通常のオープンでは、高温の空気(比熱0.24cal/g/℃)が食品に接触して加熱する(対対流伝導)が、過熱水蒸気加熱オーブンは、過熱水蒸気が食品の表面で凝縮する際に生じる凝縮熱(539cal/g)で加熱している(凝縮伝熱)。過熱水蒸気は、その温度によって異なるが、300℃での場合、空気加熱の約11倍の熱量をもっているので、熱伝達効果が大きく良品を急速に加熱することができる。

 また、過熱水蒸気加熱は、その特性により、脱油、減塩効果、ビタミンCの破壊抑制、油脂の酸化抑制効果もあり、消費者の健康志向に応える商品として注目されている。


過熱水蒸気加熱の効果

1)ビタミンCの破壊抑制効果

  空気加熱では、レンジ庫内の酸素濃度は約21%と一定であるが、過熱水蒸気加熱の場合は過熱水蒸気投入後数分で、庫内の酸素濃度は0.1%以下になる。ビタミンCは非常に酸素に反応しやすい物質なので、空気加熱ではビタミンCの破壊が加熱とともに進行するが、過熱水蒸気加熱では、酸素濃度が極めて低い状態での加熱(低酸素雰囲気加熱)なので、酸素との反応が抑制されているためと考えられる。

2)油脂の酸化抑制効果

ビタミンCと同様に低酸素雰囲気加熱により油脂の酸化か抑制される。

3)減塩効果

イオンは濃度の高いところから低いところへ移動する性質(拡散効果)をもっている。加熱初期、食品表面に凝縮酔が付着すると、表面のナトリウムイオンが凝縮水に溶け込み洗い流される。すると、食品表面近くのナトリウムイオンが塩分濃度の低い凝縮水のほうへ拡散するので、食品内部と表面近くの塩分濃度差が生じる。その結果食品内部のナトリウムイオンも拡散効果で表面近くに移動し凝縮水が食品から滴り落ちるにしたがい、食品全体のナトリウムイオンが減少する。

4)脱油効果

過熱水蒸気加熱では、凝縮熱の熱量が非常に大きいので、食品の温度は即座に上昇し食品中の油脂が早く溶け始める。さらに加熱すると、油脂の流動性が良くなり、また食品が収縮することでにじみ出てくる。表面にたまった油脂は自然に滴り落ち、また凝縮水により洗い流される。

しかし高温空気加熱では、食品の温度上昇が遅く、また凝縮水の付着がないため、 表面にたまった油脂が滴り落ちるのに時間かかかる。

電子レンジ 自動加熱とセンサー

レンジやオーブンで食品を加熱する場合、食品に合わせて加熱方法や加熱時間などをセットしスタートする手動加熱と、メニューを選択しスタートさせる自動加熱の2種類がある。

 自動加熱ではあらかじめプログラムされた加熱方法が選択され、加熱時間をコントロールする。また、センサーにより食品の状況をチェックし、マイコンでさらに細かい加熱コントロールを行う。センサーには次のようなものがある。

1)温度センサー

オーブンやグリル加熱中に庫内の空気温度を検出する。マイコンはその情報をもとに庫内温度の制御と加熱時間を決定する。

2)湿度センサー

レンジ加熱中に食品から発生する水蒸気の量を検出し、マイコンに情報を送る。マイコンはその情報をもとに出来上がり状態を判断し加熱時間を決定する。


3)重量センサー

食品の重さを測定し、マイコンに情報を送る。マイコンは“量”を”重さで判断し、適切な加熱時間を決定する。


4)赤外線センサー

食品の発する赤外線を集光装置などで検出し、食品に接触することなくその表面温度を測定することができる。マイコンはこの情報により加熱時間を決定する。


電子レンジ 周波数と透過深度

水分を含んだ食品などを加熱するために適した周波数は、発熱度、浸透度から500~5,000 MHz が適当であるが国際条約で周波数帯が決められており日本の電波法では2,450MHz ±50MHz と定められている。マイクロ波は食品の表面に当たり内部に侵入していくが表面の電界強度が約37%に減衰する距離を透過深度としている。透過深度は、周波数が低ければ低いほど深い。誘電加熱の効率を上げるには、周波数を高くする必要がある。また、食品の温度によっても深度は変わる。

2450 MHz における食品の透過深度例

食品

食品の温度

透過深度

ビーフ(生)

―15℃

5.8 cm

ポーク(生)

―15 °C

0.7 cm

ポテト(ゆでたもの)

―15 °C

6.1 cm

ほうれん草(ゆでたもの)

―15°C

1.4 cm

ほうれん草(ゆでたもの)

十23℃

0.6 cm

電子レンジに関する法規

1)電波法施行規則 第46条の七(型式確認)

 1.占有周波数帯幅に含まれる周波数が2,450 MHz±50MHzの範囲内にあること。

 2.高周波出力の定格値が2kW以下であり、かつ、動作状態における高周波出力の最大値が定格値の115%を超えないこと。

2)電波法 第100条(高周波利用設備)

 10 k Hz 以上の高周波電流を利用する設備を設置しようとする者は、総務大臣の許可を受けなければならない。あらかじめ総務大臣から型式確認を受けていれば、個別の設置許可を受けないで設置することができる。電子レンジ、電磁誘導加熱式調理器(IHクッキングヒー、IHジャー炊飯器)を製造するメーカーは、型式確認を受けるために、電波法施行規則第46条の八(届出等)によって各試験項目のデータなどを総務大臣に添えて申請して許可を得てある。型式確認を受けた電子レンジ、電磁誘導加熱式調理器には、総務省技術適合の型式確認マークが表示してある。このマークの大きさは、長径が2cm以上である。


日本工業規格 JIS C9250-1992 電子レンジ

解説概要:英語: Microwave ovens

この規格は,周波数が 2 450 MHz 帯の電磁波(以下,高周波という。)によって食品の加熱を行う定格高周波出力 2 kW 以下の電子レンジ及びそれに付加装置をもつ電子レンジ(以下,レンジという。)について規定する。なお,ガスその他の熱源を併用する複合形のものにあっては,この規格を適用しない。

その他の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

JISC日本工業標準調査会サイト

電子レンジの日本工業規格は JIS C9250 です。JISC日本工業標準調査会サイト内のJIS検索から内容が閲覧可能です。(但し印刷不可)

*現在はIEインターネット エクスプローラーのみ閲覧可。

kikakurui.com |JIS規格票をHTML化したサイト

電子レンジの日本工業規格 JIS C9250が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず

電子レンジ


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