石油ファンヒーターの正しい選び方、使い方、メンテ、修理 【図解】 

石油ファンヒーターとは? 英語:Kerosene fan heater

石油ファンヒーター(石油温風暖房機)は、灯油を燃料としながらも、ススや臭いの発生をできるだけ抑える工夫をした暖房器具です。ポイントは、灯油を直接燃やすのではなく、ガスにしてから燃やすこと。もちろん石油ストーブでも、灯油は燃えるときには気化しています。

しかし、この場合は芯による自然気化。石油ファンヒーターは、この気化を機械を使って行うのです。そして、名称にもなっているように、送風ファンを使うのも特徴です。

 まず、灯油を「気化器」を使って気化します。そこに空気を最適な割合で混合して燃焼させ、発生した熱をファンを使って室内に送り出すことで、部屋を暖めます。裸火を直接出さないので、石油ストーブより安全で快適な暖房器具として使われています。また、ファンで送風するため、室内の空気が循環して効率良く暖まるのも利点です。

 ただし、燃焼に使っているのは室内の空気。排気も室内に出す構造です。石油ストーブと同様、大量の酸素を消費しますので、1時間に1~2回程度は換気をして、新鮮な空気を補給しなければなりません。酸素が不足すると、不完全燃焼を起こしたり、一酸化炭素中毒を引き起こす原因にもなります。裸火が見えない分だけ、逆に注意して使う必要がありそうです。

*灯油〔ケロシン

  原油を蒸留し,沸点150℃~280℃で留出した油。無色ないしやや葵色を帯び,蛍光を発する。主に,ストーブの燃料,農業発動機燃料,溶剤などに用いられます。

ファンヒーターとFFファンヒーターの違い

ファンヒーターは「開放式・温風暖房機」のこと。直接火が見えないで、温風だけ出すこと。室内の空気を吸って、燃焼ガスも室内に出す、石油ファンヒーターとかガスファンヒーターがこれに当たる。

FFファンヒーターは燃焼する空気も屋外から吸って、排気も屋外に出す「密閉式・強制給排気形・温風暖房機」のこと、強制給排気式、FF式とも呼ばれる。FF(Forced draught balanced Flue type)は強制給排気の頭文字。


 石油ファンヒーターの歴史

三菱電機㈱は、1970年にストーブから出る排気ガスをなくしたいという要求とMHD発電の高温プラズマに関する当時の最先端研究が結びついた成果として排ガスを室内に出さない強制排気式のガスクリーンヒーターを発売しました。

その後、1978年に三菱電機は灯油を燃料とするクリーンヒーターを初めて商品化開発し、商品名「ダンファン(暖ファン)」として販売し、以後各家電メーカー、暖房器具メーカーが参入した。


1987年には空気清浄器付石油ファンヒーター登場、このころから、さまざまな機能を搭載した石油ファンヒーターが登場し始めます。平成期に入ると石油ファンヒーターはますます便利になり、省エネセンサー付、油切れ通知ブザー機能付、人感センサー付、消臭シャッター付などが次々に誕生しています。

しかし2004年前後に価格競争の激化や電気ファンヒーター(イオンファンやセラミックファン等)への転換などにより大手メーカーが撤退。以後はコロナ・ダイニチ工業・トヨトミ・サンポット・日本エー・アイ・シーなどの石油暖房器具メーカーのみが生産を行っている。しかし、2011年に東日本大震災発生し石油・灯油機器が見直される。

また、2009年には石油暖房機器の安全性強化の為に消費生活用製品安全法(※)の特定製品になり(PSCマーク制度)、カートリッジの口金安全性強化、給油時自動消火、不完全燃焼防止機能強化(石油ファンヒーターのみ)の3つが義務化されました。

石油ファンヒーターの原理、構造、種類、しくみ

石油ファンヒーターの原理

バーナー部は、予熱ヒーターを内蔵した灯油気化管点火電極などから構成された、石油ファンヒーターの心臓部です。 予熱ヒーターで十分に加熱された気化管内に電磁ポンプから送られた灯油が入ると、その熱によって気化し、ノズルから噴射されます。

 そして点火電極の放電で点火します。点火が完了すると、灯油気化管自体は燃焼による熱で加熱されるため、予熱ピークへの通電は不要になります。


石油ファンヒーターの燃焼のしくみ

石油ファンヒーターの燃焼の仕組みは方式によって違いますが、丸型ブンゼン方式を例に、その仕組みを解説します。

①灯油をガス化させるために、気化器を予熱ヒーターで熱します。予熱にかかる時間は、だいたい2分~4分。サーミスタで気化器の温度を検出して、一定の温度になるようコントロールします。

②予熱ヒーターで十分加熱された気化器に、電磁ポンプから送られた灯油が入ると、ガス化されます。

③ガス化された灯油は、ノズルから噴射されバーナーに向かい、このとき燃焼用の空気も取り込まれます。

④ガス化された灯油は、点火プラグの放電で点火されます。

⑤点火が完了すると、燃焼が始まり、対流ファンで室内に温風が送られます。


石油ファンヒーターの燃焼方式

石油ファンヒーターはメーカーによって燃焼方式が違う。

ダイニチはブンゼン式、コロナはポンプ噴霧式、トヨトミはポット式など、各メーカーが採用している燃焼方式は様々で、それぞれに特徴があります。

そこでここでは、代表的な燃焼方式について説明します。

石油ファンヒーター ポット式の燃焼方式

 灯油をマットの敷かれた蒸発皿にたらし、点火ヒーターで直接、加熱、点火する方式。空気との混合ガスをつくる必要がないので、品質がやや劣化した灯油でも燃焼させることができますがそれゆえに石油臭が多く排出されてしまう特徴があります。

現在、この方式を採用している主なメーカーは、トヨトミです。トヨトミの石油ファンヒーターは、変質灯油に対する許容量が大きいことが特徴で、他のメーカーが昨シーズンの灯油の使用を禁じている製品がほとんどのなか、トヨトミは昨シーズンの灯油を使うことを特に禁じていません。


石油ファンヒーター ブンゼン式の燃焼方式

ブンゼンとは、ドイツの化学者ロベルトーブンゼンが発明したバーナーのこと。その形状から、直線ブンゼン方式と丸型ブンゼン方式があります。

 灯油を気化器で加熱して、ノズルからガスをバーナーに噴射して送り込み、燃焼させます。バーナーが直線になっているのが直線ブンゼン方式で薄型でコンパクトにできる特徴があります。(下図)一方、丸型ブンゼン方式はバーナーが環状になっていて、気化器とバーナーが一体化。このため、灯油を気化するときに燃焼熱を利用でき、省電力化を図れるという特徴があります。

気化器と呼ばれる部品であらかじめ灯油を熱し、空気と混ざった混合ガスを燃焼筒で燃やすので、ポット式に比べると点火までの時間が少なく、また点火時や消火時の臭いが少ないことが特徴ですが、灯油を熱してガス化させるという機構上、電気代が高くなりがちです。

ダイニチの石油ファンヒーターが他社メーカーのものに比べると消費電力が大きいのはこのためですが、他メーカーの製品に比べ、点火時の時間が短いことも、このブンゼン方式によるものです。

電気の熱によって混合ガスを燃焼させながら駆動させるデリケートな仕様のため、経年劣化の進んだ灯油など変質灯油への耐久性は低く、出来る限り新しい灯油を使うことが推奨されていますが、ダイニチの石油ファンヒーターは灯油がタンクを通過する際のフィルターが実装されているなど、トラブルが生じにくいように対策がなされています。


石油ファンヒーター 気化方式(ポンプ噴霧式)の燃焼方式

灯油をポンプで気化器内に霧状にして噴射し、熱くなった気化器で一瞬にして混合ガス化する方式。灯油を気化させるとき、燃焼熱を利用しているので、省電力化を図れるという大きな特徴があります

混合ガスを燃焼させる点では、ブンゼン方式と同じですが、混合ガスを作る過程が異なります。ブンゼン方式では、気化器と呼ばれる機関で電気的に灯油を暖めて混合ガスを生成しますが、このポンプ噴射式では、燃焼筒自体の熱を利用して混合ガスを発生させる仕組みのため、消費電力が少ないです。(運転中は、混合ガスを作るための電力が不要)現在は、コロナだけがこのポンプ噴霧式を採用しています。

燃焼筒が暖まるまでは着火しないため、ブンゼン方式に比べると着火までに時間がかかるデメリットがありますが、いったん着火してしまえば、燃焼筒自体の熱によって混合ガスを発生させる仕組みのため、消費電力が少ない傾向があります。


石油ファンヒーターの燃焼方式 種類

方式 ポット式 ブンゼン式 ポンプ噴霧式
着火 遅い 速い 遅い
変質灯油 強い 弱い 弱い
臭い 多い 少ない 少ない
消費電力 少ない 多い 少ない
主な採用メーカー トヨトミ ダイニチ コロナ

日本工業規格  JIS A4003-1995  温風暖房機

概要解説:

この規格は,主として暖房に用いる灯油,重油,都市ガス又は液化石油ガスを燃料とする定格暖房能力 18.6kW (16 000kcal/h) 以上の温風暖房機について規定する。ただし,JIS S 2039 及び JIS S 2122を除く。

その他の詳細は下記のサイトを参考にして下さい。

JISC日本工業標準調査会サイト

温風暖房機の日本工業規格は JIS A4003-1995です。JISC日本工業標準調査会サイト内のJIS検索から内容が閲覧可能です。(但し印刷不可)

*現在はIEインターネット エクスプローラーのみ閲覧可。

kikakurui.com |JIS規格票をHTML化したサイト

温風暖房機の日本工業規格 JIS A4003-1995が全文、閲覧、印刷可能です。(但し図、イラスト含まず

温風暖房機

動画 石油ファンヒーターの製造、構造



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